日々の雑事に邪魔されず


真っ白な野兎が寒に負けないで山の中へ飛んでいった


野兎のように、ただただ生きてみたい、と思わないわけでもない













都会に出て漆掻きの話をすると、時々間違われたりすることの一つ。
私は漆掻きだが、1年中漆を掻いているわけではない。
漆を掻く時期はだいたい決まっていて、
簡単に言うと暖かい時期、6月から9月10月にかけてが主な漆掻きの時期になる。
それ以外の時期は基本的に無職になってしまう。
漆掻きだけではとてもメシは食えないから、何かしなければならない。
幸か不幸か、塗りの真似事のようなことができたので、冬は塗りの仕事をしている。
そして暖かくなったら外に作ったものを売りに出かける。
昨年から新年頭にかけて、雑事ばかりが多くて塗りの仕事に専念する時間が
とても少なかった。
ここ数日やっと一日中誰とも会わないで、自分の仕事ができる日々が続いている。
とても幸せな時間だ。
今の私の仕事は塗ることだけだ。
それだけ。
それ以上は必要ないし、それ以下のものも必要ない。

杉の木に囲まれた我が家に登る急坂の下に、白髪まじりの爺さんが一人で住んでいる。
奥さんを数年前に亡くしたので、私たちが鳥越に引っ越したときには、すでにひとりぼっちで大きな家に暮らしていた。
とてもきれい好きな爺さんで、
庭の手入れを見るだけで几帳面で実直な性格が伝わってくる。
ある日、真っ赤で大きな雪掻きシャベルを肩にかけながら坂道をゆっくり登ってきた。
何を話すでもなく、最近設置したばかりの薪ストーブの煙突を見ながら
うんうん頷いている。
今住んでいる鳥越地区は、その界隈では有名な竹細工の土地で、
爺さんも昔竹細工の作り手だった。
以前、妻が買い物のついでと、移動の足がない爺さんに何か不足のものはないか
聞いてみた。
些細な日用品だったが、買ってきてあげると、お礼に昔作ってそのままにしていたらしい大きな竹細工の籠をくれた。
爺さんの人柄が分かるような丁寧な仕事の竹籠だった。
ほんの些細な出来事が爺さんの過去を私たちに知らせてくれた。
それがなかったら今でも、一人で暮らしている寂しい爺さんとしか思わなかった。
結局無言で、真っ赤で大きな雪掻きシャベルを肩にかけたまま、爺さんはうんうん頷いて坂道を降りていった。
自分の家の庭にこんもりと大きな牛の背中みたいに積もった雪の、雪掻きをするために。
年越しの時期も爺さんの家はひっそりとしたままだった。
人知れず、竹細工の技術を持ったまま爺さんは生きていくのだろう。


サルトルは人生を要約して言った「人間とは、徒労の情熱である」

 
銘々皿
今日も猛烈な暑さ、漆の林も立っているだけで汗が止まりませんでした。

晩ご飯。
ミョウガとショウガ、青じそを混ぜ込んだ酢飯を銘々皿に。
蒸し鶏、冷や奴、ヒエのサラダ。





 
文椀
猪狩家今晩の食卓。
今日も暑かったので冷やし「そばかっけ」。
岩手県北地方でよく食べられるそばかっけは、冬に鍋に入れて
にんにく味噌で食べるのが定番ですが、夏冷たくして食べるのもおいしいです。
文椀に氷を張って冷たいだし醤油で食べました。









上の写真は木地がケヤキですが、普段販売しているのはトチの木地のものです。
文椀はたっぷりめのスープや、冬はロールキャベツにもよく合います。
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「フィールドオブクラフト倉敷」
2018年5月12日(土)–13日(日)
倉敷市芸文館前広場(岡山)
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「飯碗と汁椀展」
2018年3月2日(金)–3月28日(水)
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